「車を買わない」「余計な消費をしない」など、最近の若者の消費志向がしばしば話題になっています。では、住まいに関してはどうなのでしょうか。
そこで今回は、入居を決める際の決め手の一つである「設備」について、入居者のニーズが分かる調査を解説します。
家賃アップが図れる人気の設備
全国賃貸住宅新聞が行っているアンケート調査「入居者の人気設備ランキング(2015年)」は、全国の不動産仲介会社からの回答をまとめたもので、顧客と接する機会が多い仲介現場からの生のデータとして定評があります。
アンケートは、単身者向け物件とファミリー向け物件別に発表されていますが、「家賃アップが図れる設備」というカテゴリーでまとめた結果は次のようになっています。
まず、単身者向け物件のランキングベスト3は、1位が「インターネット無料」、次いで「エントランスのオートロック」、「浴室換気乾燥機」となっています。このランキング上位は、毎年若干の変動があるものの、ここ数年は固定化しています。
「浴室換気乾燥機」は、単身者向け、ファミリー向けともに2014年に初めてランクインしました。人気の背景としては、入居者の中で特に女性の「防犯上の問題から外に洗濯物を干したくない」「花粉症対策になる」といった理由から順位を上げています。
今までのランク外から入ったものには、「システムキッチン」があります。ファミリー向けではここ数年ランクインしていましたが、いよいよ単身者向けにもニーズが波及したことを伺わせています。また、ファミリー向けでは「床暖房」が1年ぶりにランクインしました。こちらは導入コストや光熱費が掛かることから、単身者向け物件でランクインしたことはありません。
目立つセキュリティ関連
今回のアンケートで目立つのは、セキュリティ関連の設備でしょう。
単身者向け、ファミリー向けともに「エントランスのオートロック」、「ホームセキュリティ」、「TVモニター付きインターホン」、「防犯カメラ」と、4設備がランクインしています。入居者の高い関心を呼ぶ設備として今後も継続しそうですが、セキュリティ会社のサービス向上や技術進歩といった面からもトレンドが見て取れそうです。
例えば防犯に関しては、オートロックだけでは万全ではないことが知られてきています。なぜなら、カギを持っていなくても出入りする居住者に続いて簡単に建物内に入れるためです。
こうした不安を払拭するため、住戸部分のセキュリティ強化策として「ホームセキュリティ」が導入されるようになってきました。その種類も空き巣対策から、バルコニー侵入対策、室内侵入対策など、いくつもの強化策があります。なお、オーナー向けに、「初期投資なし」で導入できるものまで登場しています。また、異常があった際にメールで親族などに知らせるタイプのセキュリティは、孤独死防止としての効果をうたうセキュリティ会社もあり、利用のための裾野は広がっています。
光熱費は関心大
上述のアンケートとは違いますが、2010年に国土交通省がインターネットで行った「住生活に関する国民アンケート~未来の『住まい』を考える~」では、「理想の住まいを実現するために重要視するもの」として、最初に「採光・通気性が良い」(39.8%)が挙げられています。次いで「地震に強い」(38.8%)、「光熱費など設備のランニングコスト(維持管理費用)が安い」(31.9%)「セキュリティ・防犯性に優れている」(25.3%)という順位になり、これは設備の人気ランキングと同様の傾向です。
2016年4月に始まった「電力自由化」で、新たに参入した電力会社と自由に電気の使用契約ができるようになりました。光熱費を比較しながらシビアに見ていく傾向は、単身者、ファミリーを問わず、今後ますます強くなるでしょう。今回、順位が下がった「太陽光パネル」やランク外になった「エコキュート」なども、電力業界の動向に左右されます。今後マンションなどの設備関係にどのような影響を与えるのか、電力自由化による業界の動きには注意が必要でしょう。
(写真=PIXTA)
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